私に人形を作らせた人達


私がブルースを聞くようになったのは高校三年の頃で、その当時はプログレか、ブルース調

ロックばかり聞いていた。ロックというのは大体が、白人が大きな音でブルースを演奏するも

のだと思っていたのだが、そんな時ニューミュージック・マガジン別冊『ブルースのすべて』

が出た。そこには、始めてみる異界の人々が載っていて、驚いたのはなんと云っても、その

ツラ構えだった。ホントにこんな顔で人前に出て、お客からオアシをいただいていたのだろう

か?という人までいたのだが、ジャズミュージシャンではあり得ないヘアースタイルと、悪役

レスラーのリングネームのような芸名。この異界の人々の様子に私はすっかり魅せられてしま

った。当然、この人達はどんな音をだすのだろうというわけで、さっそく近所のレコード屋に

行くと、マジック・サムのブラック・マジックと、ベスト・オブ・バディ・ガイがあったので、バディ

ガイを買った。レコードに針を落すと、それまで聞いていた音楽の、好きで肝腎な所を凝縮

したような音楽に聞こえ、そこからは、当時の大勢の人達と同様に、ブルース・ブームに突

入していったわけである。そしていつのまにか、そんな世界の人達を造り始め、人形作家と

して二十年も続けることになってしまった。私はたしか陶芸作家になるはずだったのだが…。
  

二十代から、男達の歌い弾く、その説得力ある世界にあこがれ、そんなところがすこしでも

形にできればと造ってきたが、日本などという所で、(特殊な)人形を二十年も造っていると、

その極道さ加減においては、ちょっとしたブルースマン並みになってしまい、最近は、巨

匠を別にすれば、あこがれという感情を持って、ブルースを聞くことはなくなった。ハウンド

ドッグ・テイラーの、『おれが死んだら、みんなは、「たいしたプレイはできなかったけど、確

かにあのサウンドは良かったなあ」って言うだろうな。(ブルーズメン ブロンズ社)』という

言葉も、あきらかに、昔と違って聞こえる今日この頃なのであった。 


私を人形作家にした10人

人形を創る上において、イメージに影響を受けた人々(レコードジャケットの
場合も含む)


MUDDY WATERS      (ROLLIN' STONE)
やはり巨匠は素晴らしい。巨匠だけが持つ存在感。来日のステージでは
もうちょっとで、つま先に触れたのに・・・。


JOHN LEE HOOKER
    (BOOGIE CHILLEN)
他の追随をゆるさず、空前にして絶後の音楽。
千両役者。

BBKING           
(EVERYDAY I HAVE THE BLUES)
ライヴ・アット・リーガル。大変穏やかな人物で、この業界では
こういう人でないと、トップには居られないのだろうと云う感じ。
老いて益々。

JIMMY WITHERSPOON  
(AIN'T NOBODY'S BUSINESS)
私がイメージする男性ジャズボーカリスト。


TOMMY JOHNSON    
(COOL DRINK OF WATER BLUES)
ガソリンまで飲んだ?本当かもしれない。


ROBERT JOHNSON    
(COME ON IN MY KITCHEN)
悪魔に魂を売った男。
私が想像するに、ジミ・ヘンとチャーリー・パーカーも。

LIGHTNIN HOPKINS    
(MOJO HAND)
聞いてから、好きになるまで最も速かった曲。


BOBBY BLAND       
(TWO STEPS FROME THE BLUES )
なんというジャケット写真。


ROBERT JR LOCKWOOD 
(STEDY ROLLIN' MAN) 
何時でも聴ける。何を聴こうか迷ったら聴く。

JIMMY RUSHING      
(GOOD MORNIN' BLUES)
カウント・ベーシーをバックに歌う、ミスターファイブ・バイ・ファイブ。一つの理想。