明日できること今日はせず 

最新ページ


8・某日14 パリ・オペラ座バレエ ディアギレフの夕べ 1990年 ビデオ

牧神の午後のシャルル・ジュードが良い。ベトナムの血が入っていたと思うが、ニジンスキーのレパートリーはそのぐらいのダンサーが良いのかもしれない?ディアギレフの頭部が仕上げを残し出来上がったが、始め快調だったニジンスキーの頭部が難航し、ここ何週間か触りもしていない。こんな時は、何かが湧いてくるまで出来る事なら離れていたほうが良いのだ。そのうちイヤでも作りたくなる


8・某日13 浅草東洋館 特選バラエティー寄席

演芸好きベーシストのTさんと出かける。お目当ては快楽亭ブラック。他にもパーラー吉松の民族舞踊パフォーマンスに爆笑し腹筋が痛む。前田燐、丸山おさむも面白く、まったく飽きることなし。演芸は実演に限る。今のTVでは無理。


8・某日12 谷中 

朝倉彫塑館に行く。すばらしい建築。彫塑作品は人物の顔、左側の眉から頬骨にかけて、(どの作品も)後退して見える・・・?谷中を歩いていると祭りの最中。神輿がワッショイでなく、ビートが肌に合わず。谷中霊園へ。 親切な?老人に話しかけられる。歩きながら墓の説明をしてくれるが、徳川慶喜の墓の前でまた別な老人現る。自作のコピーを手渡され十五分ほどレクチャーを受ける。霊園にはこのようなボランティアで熱弁ふるう老人が、大勢いるようで、こなれた口調はクロウトはだし。長くなる話に別な見物人があらわれやっと開放される。最後に全生庵にて、三遊亭圓朝コレクションの幽霊画を観る。


8・某日11 台風11号

大型の台風が近づいている様子。なにか起きるぞというこの感じは嫌いではない。というより大好きといって良い。低い所の育ちなので、すぐ水がでて、すべてが水でタイラになるのも好きだった。これからどんな被害がでるか判らないのでこの辺にしておく。何か起きそうといえば、南風の吹く晩に見上げる満月など最高である。酒をたらふく飲んで、黒雲が満月を横切っていくところを見たりすると、まるで明日は革命が起きそうな気分になる。  人はある程度、気持ちが天候に左右されるものだが、なかには気圧の変化に敏感に反応し気が短くなる女性がいる。周りの人間はなぜ機嫌が悪いのか首をかしげるが、密かにその仕組みに気付いた私は、こんな日は絶対会いたくない。


8・某日10 永久運動の夢 アーサー・オードヒューム著 朝日選書 1987

科学における愚行の一つ永久機関。実現を本気で信じた勤勉な水車大工から永久に動きつづける見世物を捏造する詐欺師。難解すぎてかえって怪しい装置から単純で一見惜しい?仕組みなど。著者がこの本を書いているとき、一人の工学者が「なぜ不可能であると確かにわかっているばかげたことについて本を書こうと思うのですか」と笑うが、失敗に終わった先人の努力の図を見せると楽しそうに眺め、一週間後に「全く不可能なはずだけれども理論的には永久運動機関を考え出した」と電話をかけてくる。こうしたことが何度もあったという。わかっちゃいるけどやめられない永久の魔力。原著の副題Obsession


8・某日9 デジタル

ページの作動がうまくいかなくなり、一日苦労する。野暮なものだといいながら始めたパソコン。始めは機械があざ笑っているような幻覚に、マニュアル本を全力投球、柱に正拳突きをくらわすという日々であったが今ではメール、オイルプリント用ネガ制作など、なくてはならないものになっている。友人の自称アナログ派は、デジタルを蛇蝎のごとく嫌うが、こういう輩に限って自分の理解できないことを認めず、ただ闇雲に否定する狭量なところがある。頑固親父と呼ばれるには早すぎる。君の事は嫌いじゃないが、もう少し素直になればクリックのし方ぐらい教えてやる。


8・某日8 深川

ベーシストのT氏と会う。小津安二郎生誕の地を案内。その後池波正太郎、澁澤龍彦も通ったドジョウ屋とケトバシヤ(桜鍋)にいくがどちらも休み。けっきょく門仲で飲る。店に流れるチャーリー・パーカーそっくりなソニー・スティット。


8・某日7 ハゼ釣り

東京の下町育ちの人間にとって、ハゼ釣りはお馴染みの風物詩である。特に子供の頃など夏から秋にかけてかかせないものであった。二十数年前、背骨が曲がったり変形したハゼが現れ一時やめていたが、幸い最近はそんな事はなく、たまに思い出したようにサンダル履きででかける。昔はバカでも釣れるなどと言われたものだが、東京湾も産卵場所が埋めたてられるにつれ、なかなかそうはいかない。今日はまだ時期が早く、ハゼとセイゴが少々。もちろん天麩羅にして腹中へおさめる。


8・某日6 T-REX

幼稚園からの付き合いのYとT-REXを武道館に観に行った時の話をする。ミッキー・フィンが投げたタンバリンが我々の目の前でカーブしていった。今は観ておいて良かったと思うが当時はT-REXを観に行った事を周囲には言いにくかった憶えがある。彼はその後ロキシー・ミュージックなどの路線に走り、私はブラック・ミュージック志向を強くしていき音楽の話はしなくなっていった。一枚のレコードを二人して舐めるように聞いていた頃がなつかしい。


8・某日5 増刊実話雑誌 一九五八 四月号 猟奇・凶悪事件の裏を行く

昨今、犯罪者に対する報道は人権に配慮かは知らぬが、いささか違和感を感じる。(手錠にボカシ入れてどうする。)しかし、この時代の犯罪雑誌は驚くほど開けっぴろげである。被害者の現場写真はもとより犯人が得意げにインタビューを受けていたり、刑事は所属部署、実名顔写真入りで、お礼参りは大丈夫なのかと心配になるくらいだ。この号にも、有名な犯人が連行されているグラビアなどがあるが、ある男など、とっくに釈放されて実録本まで出している。最近はインタビューをうける近所の住民ばかりが印象に残る。


8・某日4 夫は見た 60年大映 監督増村保造 

日本の監督では最も好きな増村保造の代表的なパターン。色と欲が絡み合い、ずたずたになっていく男と、翻弄されているようでいて生き生きとしていく女。例によってその劇的な展開にはムチャなものがあるが、そこがまた増村作品の魅力。主演:若尾文子 田宮二郎


8・某日3 澁澤龍彦命日

今年もあっという間にやってきた命日。逢ったこともない人物が亡くなってあんなにショックを受けた事はない。一時間はボーっとしていた。それ以前、神田の古書店、今は無き大塚書店で、主人がヒソヒソ電話をしているのを聞き、病気の事を始めて知った。一度だけでも逢ってみたいと色々作戦考えたが、当時は黒人しか作っていなかったのが悔やまれる・・・。


8・某日2 矢来能楽堂見学

神楽坂にある能楽堂にて、虫干しの見学。能舞台の上に何百もの面。様々な表情。般若の面のなかに真蛇という面があった。とすると般若は半蛇か。角というものは、心臓から出ているものだそうだ。気になる面が四つ程。撮影の許可が出ているので二本撮影する。見学メンバーの中に四谷シモン氏。挨拶をさせていただく。何度もお目にかかっているが、お話ししたのは二十年ぶりぐらい。


8・某日1 六本木T写真

阿佐ヶ谷撮影の写真を取りにいく。フイルム変えて正解。今までとは雰囲気がかなり違うが。 いつもながらT氏のプリントは最高。私以上に、私のしようとしている事が解かっていると思ったりする。