明日できること今日はせず  

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9・某日17 横尾忠則展


東京都現代美術館に『横尾忠則 森羅万象』展を見にいく。家からは散歩にちょうど良い距離。しかし相変わらずこの町は、近所に現代美術館があることを感じさせない。 展示は作品点数が多い事もあり楽しめた。横尾忠則といえば印象に残っているのは昭和44年講談社『江戸川乱歩全集』の挿絵である。配本されるたび貯めた小遣いで買っていた覚えがある。私はこれにより大人向け乱歩作品を読み始めた。それまで挿絵はリアルなものが好きだったが、この挿絵はどちらかというと漫画のように見え、始めは馴染めなかった。しかし乱歩の怪しい世界に入っていくと、これが見事に表現されている事を知る。それにどういう訳か、全集を予約するともらえるという挿絵セットが購入した本に挟まっていて、それは今でも大事にとってある。全集をそろえるのは小遣いが続かず断念したが、今でも古書店で目にするたび懐かしい。


9・某日16 第十二回鮎川哲也賞贈呈式 ホテル・エドモント 悠久の間

24日鮎川哲也氏が亡くなられたため、始めに黙祷を奉げる。昨年の贈呈式ではお元気そうであったが。 鮎川哲也賞『写本室(スクリプトリウム)の迷宮』後藤均。サラリーマン歴が長いということで手慣れた受賞スピーチ。 作家がごろごろいるようだが誰が誰だか判らず。もっとも現代作家は、ほとんど読んでいないので判った所でどういうことでもない。私は時間の使い方がヘタなので、特にミステリーは読まないようにしている。これにはまったら一生に行える個展の、少なくとも一つは減ることだろう。 手持ち無沙汰なのでワインばかり飲んで早々に会場を出る。おかげで帰宅したら『真珠夫人 完結編』がまだ始まっておらず見てしまった。ノベライズ化されたとも聞くが、こういうものは昼下がりに見るから良いのである。


9・某日15 オーデション帰り

地下鉄日比谷線に乗り、開いた座席に坐ると向かいの席に五人ほど坐っていた。それが別段、何という事もない人達なのだがカタマリで見ると何か妙な空気。喩えていうなら『私達フェリーニ映画のオーデションの帰りです。』といった雰囲気なのである。しかし他人同士で関係は無い様だ。 一人降りた。入れ替わりに二人坐る。『また来た!』次にまた一人。段々濃くなっていくような気がする。何だか楽しくなってきてジックリ観察したいのを抑えていたが、次の茅場町で降りなければならない。こうなるとどこまで濃厚になるか確かめたくなり、降りるのがためらわれたが普通の人に坐られてガッカリするより、この気分のまま降りることにした。


9・某日14 痴話喧嘩

先日、後で面倒な事になると知りつつ結局グリーンテラー二匹を水槽に入れる。ショップの店員に雌雄一匹ずつ選んでもらった。緑の厄介者というだけあって他の魚との混泳は注意を要するのだが。 入れてみるとまだ小さいという事もあり他の魚を追いかけることはないが、グリーンテラー同士で争っている。私にはどちらがオスだかメスだか判らないが呆れるほどのしつこさで数日バトルを繰返しているのである。目にするたび水槽をコツンとやって止めていたが、他の魚に迷惑だしキリが無い。これは水槽を別にすべきかと思い始めた昨夜、夜中に目が覚め、ついでに水槽を覗いてみると件の二匹の姿が見えない。ライトを付けてみるとレイアウトした流木の陰で二匹がピッタリくっついて寝ているではないか。いけないものを見たような気になり、あわててライトを消した。魚の世界もなかなか深いものがある。


9・某日13 手炙り

陶製の手あぶりと呼ばれる小型の火鉢を入手。これからの季節、燗酒にはまだ早いが海苔や干物、松茸(もしくは松茸と見まごうような物)をアブリながら一杯やったら良いのではないかというわけである。ついでに五徳や火箸や灰ならしなども手に入れたい。しかしそうなると鉄瓶がほしくなる。 私はそうとうな猫舌であり温かいお茶を飲むという習慣が無いのだが、たまたまお茶の頂き物が重なり、これがすこぶる美味しいお茶なのである。鉄瓶で沸かしたお茶は、その鉄分の為さらに美味しくなると聞いているので探してみたのだが、古い物になると中が赤錆だらけの物だったりする。そこでキューポラのある町川口で、鍛造をやっている友人に錆びた鉄瓶はどうすれば良いかメールで聞いてみた。「ワイヤーブラシで落とすのが一番簡単。又、塩酸が手に入れば希塩酸にして中に入れておく(十五分程度)そしてよく水洗いし何度か沸す。誰か洒落のわかる奴で人体実験。次の日、体調を確認してから自分も飲んでみる。」洒落のわかる友人はいくらでもいる。


9・某日12 演劇

宇野亜喜良さんがキュレーターをされる『私の劇場』という企画展の出品依頼をいただく。 私のお抱えのタレント?で演劇にゆかりがあるのは寺山、鏡花、コクトー、ニジンスキーだが、鏡花で新派ネタというのもなんだろうから寺山、コクトー、ニジンスキーの中で考えるつもりでいる。 実は私は演劇という物を、それほど観ているわけではない。演劇にも色々あるわけだが、狭い空間に押しこまれるのがおっくうだという事もあるが、役者のツバが振りかからんばかりの所で目のやり場に困るのもいやだし、役者が舞台から客席に乱入したりすると気が気ではない。だから舞台と客席の境がないという寺山の演劇などもっての他で、今になれば観ておけば良かったとは思うが、当時は全く興味がわかなかった。 演劇に限らず、ソウルショーでたまたま最前列の真ん中に坐った時など、いつ舞台から下りてきて語りかけられるかと落ちつかなかったし、もちろんそれが浅草の演芸場であろうと同じ事で、観客をいじるタイプの芸人の時は前の方には坐らない。 母から聞いた事だが、幼稚園で木馬座のショーを観にいった時の事。お芝居が終わった後、ヌイグルミのオオカミ君が客席に下りてきて私の頭をなでたそうだが、私は脅えて大泣きしたそうである。まったく覚えていないがオオカミが困るほどだったそうだ。トラウマとはこんな事をいうのだろうか。


9・某日11 堀口大学邸を訪ねる

午前十時にFさんと東京駅で待ち合わせ葉山へ。二十分ほど早く着いたので近所を散策。太陽族で知られる海狼亭のわきを通り海岸へ。ヨット浮ぶ。 玄関で迎えていただいたのは大学の長女で詩人の堀口すみれ子さんであった。二階に通されると机には大学の使用したと思われる文具などが置かれている。色々な話を聞かせて頂いた。コクトーと大学の親交は深いわけだが、「コクトーが大学先生を認めたのではなく大学がコクトーを認めたのではないでしょうか。」とおっしゃっていた。実に大らかな人物だったようで、ファンの方とも普通に会われるような人だったそうだ。生前連絡していればと残念がるFさん。 コクトーから送られた本を撮影する。コクトーの絵が描かれているが日本で描いたものは筆により墨で描かれていた。富士山なども描かれていて素晴らしい物ばかり。絵の中には漢字もあったが、漢字という物を判って書いている訳ではないだろうが実に上手く、線にたいする感受性を伺わせる。その他、佐藤春夫の描いた油絵や大学さんの様々な写真を見せていただいた。コクトーとニジンスキーのカラープリントを差し上げ、おいとまする。 小町通りの『IZA』でハイボールを飲みながらマイルスのクリスマス・セッションを聞いた後、蕎麦を食べ帰る。


9・某日10 探偵講談

友人Sと待ち合わせ、渋谷で旭堂南湖さんの探偵講談を聞く。『寛政力士伝 雷電の初相撲』『怪談小夜衣草紙 蛤の吸物』『江戸川乱歩一代記 乱歩と神田伯龍』 関西の講談師は現在10人しかいないそうだが、講談も関東と関西では大分違うらしく、笑わせてくれる分楽しめた。一代記の神田伯龍とは明智小五郎のモデルといわれている人物だが、私がもし明智を造るなら神田伯龍を元に、リアル版明智小五郎といきたい所である。今回は『二銭銅貨』などの乱歩作品は演じられなかったので次回も楽しみである。 その後Sとともに銀座の『パウパウアクアガーデン』に行き、ヒーターと鑑賞魚用蛍光灯を購入。ジャック・デンプシー、グリーンテラーと一番飼いたい魚がいるのだが、どう考えても今の魚の中に入れるわけにはいかないので断念。二匹とも名前からしてクセモノである。その後近くの店で飲む。先日Sの父親が踏み切りで西武新宿線を止めてしまった話を聞く。高齢の為か運転手もやさしく、お咎めなしだったそうだ。彼の父親はつい最近まで彫金職人をやっていたが、その実直なエピソードに私は弱く、いつもホロリとさせられてしまうが、どうもSはそれを知って最近はワザと私に語る傾向があるのでしまいには「お前、いいかげんにしろよ。」 小学生の時、遊んでいると、化け物がいるぞと友達が云うのでみんなで行ってみると、お多福風邪で学校を休んだ彼の姉さんが、セーラー服姿のまま道路に面した喫茶店でタバコをふかしていた。そんな話にしてくれ。


9・某日9 最長記録

気がついたら、この雑記も一年以上続いている。日付を明記せず、某日としたことが良かった。それまでは一週間も空いてしまうとやる気が失せてしまっていたのである。今回プロバイダを変え、設定を変更するにあたり読み返してみたが、私は昔から黙っていると複雑な事を考えているように見られがちなのだが、こんなものを公開して実はたいした事を考えていないと自らバラしてしまって失敗したという気が非常にしているのである。しかしその一方、ホームぺージというものは、少しでも更新していないと駄目だと聞いているので、こんなことで更新したことになるのならと、もう少し続きそうな気もしている。


9・某日8 幼馴染と語らう

根詰め仕事を終えた後、友人Yと会う。彼はランチュウの会に入るほど金魚好きだが、冬はオフシーズンとかで(餌をほとんどやらず放っておくらしい)やはり熱帯魚飼育を再開するという。話していると全く子供時代と変わらないテンションになるから幼馴染は面白い。 彼はゲイなのだが、二十年近く前に思いつめた面持ちで家に来たことがある。以前から何か云いたい様子であったが、その日も何時間経っても何も云わない。友人関係が壊れるかもしれないなどと云うものだから、私はどんな事だろうと何時間も悩んだわけだが、どう考えても思い当たらない。その揚句がゲイだという。どんな一大事かと思ったら、私に愛の告白をしつつ、のしかかって来ようと云うならともかく、そんな事知るか!という訳で相変わらず付き合いは続いている。


9・某日7 毎年1〜2人は盲腸だった

東陽町に用事があったので東陽図書館に寄り『ニジンスキー』精選復刻 紀伊国屋新書 石福恒雄著を借りる。始めてみるニジンスキーの写真。もう1パターン、ニジンスキーの頭部を造るので良いタイミング。他に熱帯魚図鑑とゲイリー・ムーアのCD。ゲイリー・ムーアは始めてちゃんと聞いたが、BB、アルバートの両キングに、ロイ・ブキャナンを混ぜたような感じであった。 夕方、幼稚園からの友人Yから電話。子供時分の熱帯魚仲間である。二人で熱帯魚の話しをしていると小学生の頃話していた調子とあまり変わらず、お互いそれに気付いて恥ずかしくなり電話では具合が悪いと会って話す事に。 小学4年生の時、彼が盲腸になり(○○医院は、お腹が痛いと必ず盲腸というので有名で、クラスで毎年少なくとも一人は手術するほどであった。)友人三人と見舞いに熱帯魚図鑑を持っていった。笑わせてはいけないと先生に言われていたが、そのせいでドアを開けベッドに横たわる彼の姿を見たとたん笑いが止まらなくなり、彼を苦痛にウメかせる事になってしまった。


9・某日6 水槽

CDRに続きスキャナーの調子が悪い。デジタル機器という物は何もしないで久しぶりに使おうとすると壊れていたりするので訳がわからない。 午後、水漏れがおさまったと思っていたブリキ枠の水槽から水がしたたっていたので、再度魚を非難させ修理。昔の物なので部屋に合うかと思ったが、どう考えても金魚のほうが似合う。金魚は金魚鉢にすでにいるので、ブライトブルーシクリッドという魚に決める。今度水漏れを発見したら諦めてベランダに置くことにする。 来週、葉山の堀口大学邸にお邪魔する事に。ジャン・コクトーとの往復書簡など拝見するのが楽しみである。


9・某日5 幻影城

名張市より『江戸川乱歩ふるさと発見五十年記念事業乱歩再臨』のポスター校正刷りが届く。私の作品『帝都上空』が使われている。名張市は乱歩生誕の地だが、乱歩の顔を知らない市民が多いそうだ。市民の何人かはコロムビア・トップが気球にぶら下がっていると思う事であろう。 以前、いただいた名張の酒『幻影城』をアンコウ鍋をつつきながら飲む。(木屋正酒造 乱歩生誕碑「幻影城」から二分の所にある蔵元だそうで他に『黄金仮面』などもある。) 10月に京都にでかけるので、ついでに四日市の陶芸家の友人二人の所へ寄って、名張にも行ってみたいと考えている。 プロバイダを変え、HPの転送をやっと終える。何度か設定の変更をやっているが完了すると安心してしまい、すっかり忘れてしまう。しかしデジタルなんてものは次々忘れていかないとやってられない。


9・某日4 タクアン色の魚

出版社に画像データをCDに入れて送るつもりがパソコンのCDRが壊れる。このメーカーの製品はデザインその他そそられるものを造るが、昔から壊れやすいイメージがあり使った事がなかった。つい購入してしまったパソコンも、やはり。 最近はパソコンの前でイライラすると水槽の前でパイプをイップクが習慣になっている。タクアン色したラビドクロミスカエルレウスが一番のお気に入りである。ほとんど同じ大きさで5匹買ってきたのだが、1匹一回り大きくなったメスがいて他のメスを蹴散らしている。メスがメスに厳しいのは魚も人間と同様のようだ。時にはオスにさえ向っていくのだが、あるオスにだけ態度が違う。さりげなく近寄っては肘鉄をくらっている。しかし、この大食らいのメスが餌を食べている時のあさましい姿と違って、しおらしく、ドサ芝居を観ているようで実に面白い。 午後人形撮影に使う台が届く。人形を下から撮る事が多いので今までより高く頑丈なものにした。配達人が来てドアを開けると風が入ってきて、まだドリアンの匂いが残っているような気がした。


9・某日3 ブリキ製水槽

朝からプロバイダの設定に四苦八苦していると、昔懐かしい小さなブリキ製フレームの水槽が届く。最近の水槽は妙にモダンで部屋に合わず手に入れた物である。未使用だが古いものなので水漏れがひどく、コーキング材で塞ぐ。 昼過ぎに小、中学校の先輩Iさん来宅。月島でデザインの仕事をしているIさんだが、小学校の恩師の葬式以来。近所のそば屋で昼食の後、事務所に誘われ歩いて相生橋を渡りお邪魔する。仕事の話などにもなるが、おもに地元の昔話に花が咲く。私達の育った町は台風のたびに水がでたが、金魚屋の鯉や金魚が家の前を流れてきて楽しかったなどと盛りあがる。それにおそらく関東にしかないと思われるカタ屋の話。(素焼きや、石膏の型で粘土をレリーフ状にしたものに、金属紛?で色付けする遊び。不定期にオジさんが自転車でやってくる。)小岩スカラ座(中学生でも入れた成人映画専門館)の話など。 帰宅すると熱帯魚の水槽を玄関に移す。そんな事で一日が終わってしまった。


9・某日2 始めてドリアンを食べる

小学生の頃に読んだ本の中に、ドリアンという果物の王様といわれるものがあり、ニンニクとタマネギの腐った物を持って、トイレに入ったような臭いがすると書いてあった。相当好奇心を刺激されたものだが今日まで縁が無かった。 昨日知人から、かなり出来が良いというものをいただいた。いくら臭いと云ったって、そうたいした匂いではないだろうと思っていたのだが実にクサイ。トイレの匂いとは思わないが確かに生ゴミは連想される。味は痛んだタマネギとサツマイモを混ぜて、少々のフルーツの香りを混ぜたようであった。食べつづけていると鼻も馬鹿になり臭いがしなくなってくるが、すると、なるほど確かに美味しいと云えなくもない。しかしこれがあのドリアンだと思うから食べるわけで、何も知らなかったら口にはしないだろう。とりあえずやっと願いがかなったというわけで、もう結構。  午後、自宅で京都の出版社の取材を受けた後、赤坂見附に香川久士さんのブロムオイルの個展会場に。メールでのやり取りはあったのだが始めての対面。 オイルプリントとブロムオイルは親戚のような技法である。オイルの方が原始的だが、ブラシを使い油性顔料を使うところなどは共通である。非銀塩のこうした技法にチャレンジする人が増えてもらいたいものだ。


9・某日1 吉田秀彦VSホイス・グレイシー

すでに新聞で結果を知っていたので緊張感に欠けたが面白かった。ホイスは自分が落ちたのに気付いていないようであった。結局、格闘家となるとどうしても柔道出身者を応援してしまう。吉田にはいずれ全日本のコーチにという構想もあったようだが、プロの世界で活躍していって欲しいものである。同じ柔道出身の小川との対決もいずれあるだろう。 相撲出身でも良いのだが、総合格闘技が盛んになってきた現在、相撲が一番強いという人は少ないだろう。仮に武蔵丸が参戦したところで、ノゲイラに負けたボブ・サップ以上に戦えるとは思えない。千代の富士、昔の明武谷あたりだったら面白いかもしれないが。 相撲は今の土俵サイズだと、どうしても大きい力士が有利だが、実力以上に大きくなりすぎ怪我ばかりで話にならない。戦後一時試みたようだが土俵を一回り大きくするべきであろう。