永井荷風

  銀座並木通り

荷風を撮影しに深川周辺を歩いていると、路地裏に
この車が雨晒しになっていました。実際はボロボロもい
いところで、タイヤも付いていたかどうか。室内で背景
を造り撮影するのと違い、こんな偶然が面白いのです。
そして銀座並木通りなどと名付ければそんな気もして
くるというものです。大体、私の作品は撮影現場に居合
わせた人には、どんな作品になるのか想像がつかない
場合がほとんどで、撮影の多くが三脚を使わず、手持ち
撮影十五分の一秒です。レフ版がわりの画用紙もめった
に使いません。対象が動かない人形ですから準備すれ
ばするほど、「物」になってしまうような気がします。その
かわりあのシチュエーションでもう一度と、再度試みても
初回の新鮮さ、勢いまで取り戻すことはできないのです。