晩春の生暖かい風が、オドロオドロと、火照った顔に感ぜられる、蒸し暑い日の午後であった。用事があって通ったのか、散歩の道すがらであったのか、それさえぼんやりとして思い出せぬけれど、私は、ある場末の、見る限り何処までも何処までも、真直に続いている、広い埃っぽい大通りを歩いていた。