潮騒あるいは真夏の死



『男の死』の中にも健康的で明るい作品を、と考えたのが『潮騒』である。 磯着と呼ばれる海女の装束は、販売している物ではないようで、各自、自分で作った物らしく、三重県鳥羽市在住の知人に探してもらった。以前実際使われていた物である。一枚、用途不明な布があったが、結局判らず使わなかった。磯メガネと呼ばれる水中眼鏡は地元の釣具店にあるようで、プロ仕様の頑丈な物である。撮影場所は千葉の南房総。すべての海女は、あとから合成している。デジタルで合成といっても私の場合は切り抜いて貼るだけである。肝心なのは背景の光と、後に撮影することになる人物にあたる光を、できるだけ角度、質を合わせることである。真上からの直射光なら、後に撮影する人物にも真上からの直射光をあてないとならない。

海女小屋の海女達。現在は観光でもなければ、このような姿を見ることはできない。この小屋は、実際は漁師が網をつくろったりする場所であり、小屋というほどの場所ではない。

海女をできるだけ賑やかに登場させてみた。ヒロインの初江はカットごとに別人のように写っているのが面白い。



漁にでている新治を想う初江。貝殻やランプ、焚き火跡など合成した。手前に見えるのは現場の海だが、遠景は浜名湖である。壁にかかる、何に使うのか判らない雑物がリアル。

陸軍観的哨跡での焚き火のシーンである。初枝の着るシュミーズは昔のデッドストック物。初江は知人の愛娘であるが、ブログをご覧の方はご承知であろう。撮影時、撮影現場の陰から撮影者の私を終始見ている父親、という、実にやりにくい撮影であった。そのためカメラを落としレンズを壊したが、ピンボケがかえって良かった。

これも私のブログによく登場する人物に貢献してもらった作品。三島が寝ている周りの水流を作るためだけにここに寝てもらった。タイトルは三島作品から『真夏の死』とした。